完全在宅勤務を実現する障害者採用の新しい流れ

コラム|求職者様向け

2025/05/13

障害者採用における在宅勤務の取り組みは、ICT(情報通信技術)の活用により、通勤が困難な方々の就業機会を拡大しています。企業は時間や場所に縛られない柔軟な働き方を提供することで、障害を持つ人々に仕事と私生活のバランスを保ちやすい環境を提供する事が可能です。しかし、成功を収めるためには、特定の方法やプロセスを理解し、適切な支援体制を整える必要があります。


この記事では、在宅勤務可能な障害者採用の現状や成功させるためのコツ、在宅勤務のメリット・注意点などについて解説します。


在宅勤務可能な障害者採用の現状


障害を持つ方が在宅勤務可能な企業に就職する方法としては、求人サイトやハローワーク、その他就職支援サービスを利用する方法が考えられます。


求人サイトで障害者雇用の求人を探す場合、障害者向けの転職サイトを利用します。転職サイトによって機能は異なりますが、在宅勤務可の企業に絞り込んで検索をしたり、在宅勤務可の特集ページで探したりすることができます。


就職支援サービスを利用する場合は、障害者支援団体や日本障害者雇用促進協会のような機関からサービスを受けられます。これらの団体では、在宅勤務可能な職種に関する情報の提供のほか、履歴書の作成や面接の準備に役立つセミナーも提供されているため、積極的に活用しましょう。


これらの手段を通じて、障害を持つ方は自分に合った在宅勤務の職を見つけ、応募することが可能です。


障害者採用のための在宅勤務制度の概要


2019年から順次施行されている「働き方改革関連法」には、障害者雇用における多様な働き方の実現に向けた取り組みも含まれています。例えば、コロナ禍で一般的となった「テレワーク」は、コロナ禍以前から厚生労働省によるモデル事業が進められており、導入事例集をまとめたガイドブックなども公開されています。


参考:障がい者の在宅雇用導入ガイドブック(厚生労働省)


 


在宅勤務の実例としての求人情報


前述のガイドブックなどからいくつか導入事例を紹介します。


事務代行業などを行う企業の事例では、グループ企業が運営するサイトの情報審査業務を在宅勤務の形態で提供しています。この企業では、オフィス勤務の進行担当がテレビ会議による朝会や夕会を開き、状況の把握に努めています。朝会後には体調を自己申告により確認する機会も設け、業務量を調整するなどしています。


事務処理サービスなどを提供する別の企業の事例では、重度身体障害者を対象に在宅勤務を実現しました。九州・近畿・関東・東北の29府県において、255名の重度身体障害者がインターネット上の求人情報収集や、リスト作成などの業務を自宅で行っています。同社は、在宅勤務者が安心して勤務できるよう、適切な労働時間の管理、健康管理のサポート、必要な技術的サポートを提供しています​​。


これらの企業の取り組みからは、障害者採用における在宅勤務制度の導入が、障害を持つ人々に新たな就業の場を提供し、障害を持つ方の社会参加を促進していることがわかるでしょう。これらの事例は、障害者採用における在宅勤務の可能性を探る上で、有用な示唆を与えています。


参考:都市部と地方をつなぐ 障害者テレワーク事例集(厚生労働省)


障害者採用で在宅勤務を成功させるための秘訣


在宅勤務を成功させるには、勤務者が最低限必要なスキルを持ち、効果的なコミュニケーション、適切な業務管理、そして充実したサポート体制があることが不可欠です。これらの要素は、障害を持つ方が自宅で生産的かつ満足度の高い働き方を実現するために重要な役割を果たします。


必要なスキルと自己管理のコツ


在宅勤務では、主にパソコンを利用することになります。従って在宅勤務に就く方は、最低限かそれ以上のパソコンスキルが必要になってきます。業務内容によっては、ある程度専門的なスキルが必要となることもあるでしょう。


あらかじめ研修を受けてパソコンスキルを磨いたり、採用活動における面接時点で、スキルに関するお互いの認識をよくすり合わせたりしておかなければいけません。


また、在宅勤務といっても、ビデオ会議やチャット、メールなどで人とのやり取りは発生します。在宅勤務ならではのコミュニケーションスキルも求められるでしょう。


対面でのコミュニケーションがないことから、意見のくい違いが起こったり、余計なストレスを抱えてしまったりすることもあります。そのようなときの気持ちの抑え方を学んだり、相談先を確保したりすることも大事になってきます。


企業によっては、対面でのコミュニケーションの機会を設けるため、定期的にみんなが集まって仕事をする場を設けたり、オフラインでのイベントを開催したりするようなところもあります。孤立感を軽減し、一体感を生み出すために効果的な手段だといえるでしょう。


在宅勤務環境の整備


効率的な在宅勤務環境の整備には、厚生労働省の資料に基づく、具体的な作業環境の設定と関連法規の遵守が重要です。以下の推奨される環境とそれを明示する関連法規を参考に、障害を持つ方の在宅勤務をサポートする企業が留意すべきポイントを紹介します。


以下の推奨事項と関連法規を踏まえて、在宅勤務環境を整備することで、障害を持つ従業員が健康かつ快適に働ける環境を提供することが可能となります。このような環境の整備は、企業が障害者採用において在宅勤務を支援する上での基本です。


参考:


事務所衛生基準規則


情報機器作業における労働衛生管理のためのガイドライン(厚生労働省)


都市部と地方をつなぐ 障害者テレワーク事例集(厚生労働省)


 



  • 部屋


作業スペースは、10㎥以上の空間を確保することが推奨されます。部屋の広さでいうと、約6畳以上ということになります。





窓などの換気設備を設けることが求められ、ディスプレイに太陽光が直接入射する場合は、窓にブラインドやカーテンを設けることが推奨されます。



  • 照明


机上は照度300ルクス以上とすることが求められます。適切な照明は目の疲れを軽減し、作業効率を高めるために重要です。



  • 室温と湿度


室温は17℃〜28℃、相対湿度は40%〜70%となるよう努めることが望ましいです。エアコン等で調整できるようにしましょう。



  • パソコンと周辺機器


ディスプレイは照度500ルクス以下で、輝度やコントラストが調整できるものを使用すること、キーボードとディスプレイは分離して位置を調整できること、操作しやすいマウスを使うことが推奨されます。



  • 椅子と机


椅子は安定していて簡単に移動でき、座面の高さと傾きを調整できる背もたれがあるものを使用すること、机は必要なものが配置できる広さがあり、作業中に脚が窮屈でない空間があることが推奨されます。


障害者採用で在宅勤務を選ぶメリットと注意点


在宅勤務は、障害を持つ人々に多くのメリットをもたらす一方で、注意すべき点も存在します。適切に対応することで、在宅勤務の効果を最大限に引き出すことが可能です。


メリット


在宅勤務の最大のメリットは、個々の生活スタイルや障害の特性に合わせた柔軟な働き方を実現できる点にあります。通勤の必要がなくなることで、時間とエネルギーを節約し、自分のペースで仕事を進められます。また、自宅という安心できる環境で働くことで、ストレスを軽減し、作業効率を向上させることも期待できるでしょう。特に、通勤が困難な障害を持つ従業員にとって、自宅での勤務は職場環境に適応するための障壁を減らすことにつながります。


注意点と解決策


在宅勤務には多くのメリットがありますが、孤立感やコミュニケーションの難しさなどの問題に直面することもあります。これらを解決するためには、定期的なオンラインミーティングの実施やチャットツールを活用した頻繁な情報交換が有効です。また、仕事とプライベートの境界を明確にするために、勤務時間を定め、仕事用とプライベート用のスペースを区別することなども推奨されます。


在宅勤務を取り巻く環境は日々進化しており、障害を持つ人々にとっても、より働きやすい条件が整いつつあります。企業と従業員が一丸となって、柔軟性の高い働き方を支援し合う文化が育てば、在宅勤務の潜在的な課題も乗り越えられるでしょう。


まとめ - 障害者採用での在宅勤務という選択肢


障害者採用において在宅勤務を実現することは、個人にとっても企業にとっても多くのメリットをもたらします。在宅勤務の導入は、障害者が直面する職場での物理的、社会的障壁を大きく低減します。自宅での仕事は、個々人の状況に合わせた柔軟な働き方を可能にし、仕事と私生活のバランスをより良くすることが期待できるでしょう。このような働き方の普及は、障害者の社会参加と職業生活の質の向上に寄与し、多様性と包摂性の高い社会の実現へとつながります。


在宅勤務はさまざまなメリットをもたらしますが、適切な技術的サポート、効果的なコミュニケーション、そして職場の文化の変化が欠かせません。企業は、障害を持つ従業員が在宅勤務を行う上で直面する可能性のある困難に対処するための継続的なサポートと、柔軟な働き方を促進するためのポリシーの策定が求められます。在宅勤務という選択肢は、障害者採用における大きな前進となり得るため、この記事を参考に導入を検討してみてはいかがでしょうか。

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